手塚治虫展~未来へのメッセージ

5月5日の「子供の日」に
手塚治虫展~未来へのメッセージ (江戸東京博物館)
を見てきました。私の知る限り、一般公開された手塚関連イベントの中では、最大規模のものだったと思います。

GWをなめちゃいけない…この日は朝から天気が悪かったにも関わらず、私が訪れた朝10時頃の時点で既に黒山の人だかり!!会場内の係員さんが何度も「展示物の前で立ち止まらず、ゆっくりお進み下さい」と呼びかけていたけど、効果のほどは…うーん (苦笑)
時折聞こえてくる周囲の会話から察するに、決して皆が皆手塚ファンというわけではなく「よく知らないけど、有名だから見てみようかな」ぐらいの意識の方々も大勢来ていた様子。この機会にぜひ手塚作品を読んで頂きたいものです。

会場内ではいくつかに分けられたテーマに沿って、様々な遺品や漫画原稿、カラーイラスト原画、映像資料などが多岐に渡り展示されていました。年代順や作品毎に並べて展示されていない?事もあってか、後期作品も初期作品もごちゃまぜに並んでいる印象で、ちょっと混乱する箇所も…。(例えば「さっきのコーナーにBJあったのに、ここでもまたBJ?」とか、出口付近でコラボ・リメイク作品の紹介コーナーが来て、ここでそろそろ終わりかなーと思ったら、そのあと唐突に「ブッダ」が紹介されていたりとか)
遺された作品数が膨大すぎて、展示用にまとめるのも大変な作業なんでしょうね。
ただ「火の鳥」の紹介コーナーでは、幻想的な光の演出も良いけれど、 (当日同行下さったsさんも仰ってましたが) 各編ごとの紹介があっても良かったのでは…。あまりに漠然とした観念的な展示内容に思え、もし自分が「火の鳥」を読んだことがない非手塚ファンだったら、何から読んでいいのか戸惑いそうで、そこへいきなり最終編のシノプシスだけを見せられても……と考えるのは意地悪な見方でしょうか。
今までに記念館などで見た事のある原稿や資料とともに、今回の企画展で初めて見れた展示物も多く、人混みに揉まれながらも貴重な時間を過ごせました。手塚先生が子供の頃に書いたという昆虫手帳は、何回見ても圧倒されます。精密に描き込まれた蝶といい、びっしり細かく同じ大きさの文字が整然と綴られた解説文といい…決してタイピング文字でもなければ縮小コピーでもないんですよね (汗) あの手帳を見るだけで「普通の人の仕業じゃない…」と、鳥肌の立つ思いがします。
現在活躍中の作家やアーティストとのコラボ作品・リメイク作品を紹介するコーナーで、漫画分野では一番プッシュされていた印象だった浦沢直樹氏の「PLUTO」。(もしや現在某少女N誌で連載中のあの漫画も展示されてるのか…!?と一瞬どきっとしたことは内緒です←書いてるやんけ!) 図録にもしっかり、浦沢氏のイラストが載ってましたね。
「PLUTO」いちおしには納得ですが、他にも手塚作品のリメイク漫画を描いている漫画家さんは何人かいたはずなのに、それらの作品は今回取り上げられなかった模様。 (「どろろ梵」て、手塚ファンの間での評判はどうなんでしょうか?)
同じコーナーに設置されていたビデオモニターでは、近々公開予定のハリウッド版アトムの予告編映像が流れていました。原作のアトムというと“10万馬力のヒーローでありながら、本当は繊細で争いが嫌いな苛められっ子”のイメージがあるのに、ハリウッド版アトムからはそういう影の部分が全く感じられない…と、見るたびに思います。あくまで予告編を見た限りの印象ですが、果たして本編ではどんなアトムになっているのやら。

会場では人混みやガラス越しのために見辛いものも多かった展示物を、図録で確認出来たのはありがたかったです。とはいえ全ての展示物が図録に収録されていたわけではなく、かなり抜けが多かったのが残念。特にアニメ版「リボンの騎士」最終回の、らぶらぶキノコハウス絵コンテが掲載されてないなんてっ…ないなんて!!(おちつけ。爆)
手塚御大縁の方々が寄せたメッセージも含め、全掲載して欲しかったです。
縁の方のメッセージといえば、手塚プロの方が書かれていた「出張先で手塚先生に、深夜に2回も墨汁を買いに走らされた思い出」が一番強烈だったように思います。神様ひでえー…(泣笑)
数あるメッセージの中で、最も短く淡々と書かれていた水木しげる御大のコメントも印象的でした。「手塚治虫と石ノ森章太郎は生前、徹夜した日数を競い合って自慢していた。命を削って漫画を描いていたんだろう」という内容だったのですが、私が少し前にネットでの評判を見て買った漫画「青春少年マガジン」(小林まこと/著) の内容を思い出し、切ない気持ちに襲われました。
“命を削ってまでも”打ち込みたい仕事に出会えることは、幸せなことかもしれないけれど……
本人が一番、もっと長生きして、好きな仕事を続けたかったはずだろうに。

図録の最初の方に、宮崎駿氏のインタビューが掲載されていたのには吃驚でした。(多くの手塚関連トークショー等でちらっと話題が出るたび、腫れ物のように扱われている存在が可笑しい/苦笑)
いかにもこの人らしいコメントに納得でした。なんだかんだ言いながらも、宮崎氏にとって手塚治虫は無視出来ない存在であり、この人なりに敬意を払っているんだなと。読んでる途中で「手塚作品とのファーストインパクトが世代それぞれに違ってるのは当たり前、そこに優劣なんてないんだよ!!」と、内心つっこんだりもしましたが。
(手塚女性像への批判で「『双子の騎士』でお母さんになったサファイアも、親子でリボンの騎士をやればいいのに。なんで子供を生んだだけで、ただのお母さんになってしまうのか」という氏の意見には、はからずも共感しました…“ただのお母さん”だって立派です。でもサファイアには、サファイアならではの才能と実力、サファイアにしか出来ない事があるのに…と、もどかしさも覚えつつ「双子の騎士」を読んでいたのでした。以上、リボンおたくのぼやきでした。苦笑)

会場でゲットした図録とクリアファイルです↓
画像
サファイアのクリアファイルの裏側には、漫画のカラー原稿がプリントされてましたよ♪

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お昼を済ませてからミュージアムショップをぶらぶらした後、
博物館を出て、sさんと徒歩で浅草へ。
雨のお江戸情緒もなかなか良かったです。
(sさん、お世話になりました!)
たくさんお喋り出来て、浅草名物の天丼も食べれて幸せでした。
エビでかかったですよエビ。(# ̄∀ ̄#)

この記事へのコメント

rikans
2009年05月11日 13:57
管理人補足。

偉そうに好き勝手なこと書いてますが、私も手塚作品を深く広く語れるほどのコアなファンではありません。手塚漫画を読み始めたのは御大没後で、しかも読破したのは膨大な作品の中の、ほんの一部に過ぎず。(昭和50年代の子供の頃、住んでいた関西地区で盛んに再放送されていた手塚アニメを夢中で見ていたのが、自分の手塚原体験です。「ジェッターマルス」だけは本放送で見たかな?)
我が家の僅かな手塚蔵書を振り返るとあまり初期作品はなくて、「リボンの騎士」などの夢々しい作品よりも、後期や晩年に描かれた夢々しくない作品 (MW・奇子・アポロの歌・アドルフに告ぐ・アラバスター・時計仕掛けのりんご 等々…) の所蔵率がやたら高い事に気づきました。「時計仕掛けのりんご」は秋田文庫から出ている短編集のタイトル作品で、身の毛もよだつ怖い話満載です (小心者のくせに何故か怖い話が好きなんですね…)
私の場合、夢はアニメで与えられ、現実は漫画で教えられたのかもしれないです。
明子
2009年05月12日 21:35
rikansさん手塚治虫展の記事のUP、お疲れ様です。
自分も行っただけに興味深く読ませていただきました。

私もrikansさんと同じように、展示の仕方には、疑問を持ちました。
以前先生がテレビで「私は、3年おきぐらいに鬱状態がやってくる」みたいなことを言っていました。
年代順にその時の先生の精神状態なども感じられるようなそんな展示方法もあったのでは・・などと生意気なことを思ってしまいました。

手塚先生の小さくも精密に書かれた昆虫の絵には本当に感動でした。
shanz
2009年05月13日 01:40
rikansさん、こんばんはー!その節は、お世話様でした。
個人的には。御大絵じゃないですけど、あのキノコの家の絵コンテ実物は見てよかったです♪(フランツの手が・笑)
ピックアップされてるものが謎だったり、テーマ分けも不思議な気がしたのですが
こんなこともやってたのねーと多くの人に知ってもらえる機会にはなっていそうです。
手塚治虫の名前は知ってても、作品(アニメ漫画共)を知らない人が案外多いようでしたね。
虫プロ時代のスタッフにやなせたかしの名前があるのに吃驚してる人も多く、そんな様子を見るのも面白かったです。

図録、原稿なんかも部分なのは残念でしたね。ちっちゃくてもいいから全部掲載して欲しかったです。
(復活祭のフランツのページがないじゃん!笑)

宮崎駿氏の双子の騎士論は私も興味深く拝見しました。
でも「双子」は自分の中で無かったことにしたいので…
サファイアもですけど、フランツなんてもっと駄目すぎな王様になっちゃってさ。宮崎氏、その辺はやっぱり無視なんだなぁ。
と、久々の書き込みなのにフランツ至上主義視点で語ってしまいました。失礼しました!
rikans
2009年05月13日 19:12
★明子さん
拙いレポをお読み下さり、
コメント下さってありがとうございました!

>「私は、3年おきぐらいに鬱状態がやってくる」
そんなことを仰っていましたか。
そうですね…テーマ別に展示したい意図はわからなくもないのですが、やはり年代順に、手塚先生の生涯を追体験出来るような流れの展示にした方が、見学者としてはより手塚世界に入り込めたのでは…などと考えてしまいます。展示物の一つ一つは貴重ですばらしく、この企画展の開催 (及び見学の機会に恵まれた事) はありがたく感じているのですが。
手塚作品を知らない多くの人々に興味を持ってもらえたなら良かったかな、と思っています。
rikans
2009年05月13日 19:22
★shanzさん
こちらこそ、
その節はありがとうございました!
フランツ至上主義視点のご意見、
大歓迎です(笑)

いちいちケチをつけるようで恐縮なのですが、コーナー毎に設けられていたテーマも、展示物を追うのに集中していたせいか?印象に残りませんでした。
ピックアップされてる作品と、取り上げられずにスルーされていた作品との線引きもよくわからなかったですね。

>手塚治虫の名前は知ってても、~
周りの見学者さん達の会話には、思わず耳ダンボになりましたね。一般の人々のナマの声が聞ける機会はそうそうありませんから。

>図録~ちっちゃくてもいいから全部掲載して欲しかったです。
全くです。他の原稿も、復活祭のフランツも、カズ山曰く「チンクさんが子供のくせに空気を読んで作った」(←ちょっと違う/爆)キノコハウスも。
rikans
2009年05月13日 19:29
(すみません、続きです)

>宮崎駿氏の双子の騎士論
男性読者の多くは所詮、フランツのような、ヒロインにとっての王子様キャラには興味ないのかも…?と思います。
ちなみに、双子版サファイアをかっこよく活躍させるならフランツも同様にかっこよくしなければ、ますますダメ国王ぶりが目立ってマズい…!と、妄想内で勝手に焦りを覚えました。(納得出来ないものは無かったことにするか、妄想補完ですわー。苦笑)

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